2020年1月14日火曜日

戦う客室乗務員 その ①

小正月ですね。

しめ縄など正月飾りを『どんど焼き』で年神様をお見送りし
改めて無病息災を祈る時期です。

客室乗務員(Crew /CA)はお客さまに安心して
快適な空の旅をお楽しみいただけるよう日々の健康管理をしています。

機内環境についても細心の注意を払っている訳ですが、
目に見えないものと戦わなければならないので簡単ではありません。

なかでもノロウイルスの感染力は強く、わずかな量が体内に入っても
発病する可能性があります。
乾燥などにも強く、誰もが使う化粧室でレバーや蛇口などに付着し、
そのウイルスが別の人の手に付着して新たな感染者を生み出すなど、
食べ物を介することなく人に感染させてしまうことも珍しくないのです。

冬場を中心に多くの感染者を出すノロウイルスは
食中毒の一つとして知られていますが
人が行きかう空港や飛行機の中では特に警戒が必要となります。

一般的にはノロウイルスに感染すると激しい下痢や嘔吐に襲われ
通常は数日間で自然に回復しますが、特に怖いのはウイルスに感染しながら
激しい症状が出ずに日常生活を送っている患者が少なくないそうです。

そのようなひとりが乗客となり、自分が感染者だという自覚がないままに
ウイルスを拡散させてしまう危険があるのです。

会社としても「人から人への感染対策で重要なのは、
ウイルスを多く含み、感染源となる吐いた物や排せつ物の処理すべき。
また患者の下痢や嘔吐時に飛散したウイルスに触れる危険性が高くなる
トイレも要注意」と認識しており、感染制御の専門家からアドバイスを受け
現場に対策の指示を出しています。


具体的には水で薄めた塩素系漂白剤など次亜塩素酸を浸したペーパータオルで
嘔吐物を処理します。そして便座や蓋周辺だけでなく、
使用者が触るレバーや蛇口などをよく拭き取り、
その後に流水とせっけんでよく手を洗うということの繰り返しです。

同時に該当箇所を他のお客さまから離すための座席移動をお願いし、
ウィルスの飛散を防ぐための処置もします。

機内清掃だけでは不十分なので到着後地上スタッフがさらに該当箇所を確認し、
ウィルスの飛散による二次感染を防止すべく配慮しています。



しかし、どれだけ対策をしていても、こちらも人間。



Skywardsなどは到着して入国審査を終えた後に
空港到着ロビーの化粧室を利用して罹患しました・・・

お客さま優先のため機内でも到着ゲート周辺でも駆け込めないことが多く、
関係者のみ使用可能な場所までは遠いのでより数が多い所を使いがちなのです。

あれは忘れもしないホノルルマラソンへ参加される(された)
お客さまが多い便のスケジュールを忙しくこなしていた12月初め。
金曜日の夕方に帰着し、24時間後に体調不良を感じて休日診療所に駆け込み、
翌日の乗務を欠勤することを担当デスクに電話連絡したところ
病欠の理由・診断書の有無・体調管理不足など、詰問を受けました。

突然の病欠にはスタンバイが対応しますが、直前に呼び出されるのも、
その後のフライトスケジュールが変更になり大変なのはよくわかっているので
正式な診断を待たずに一報を入れたのです。


一番からだが辛い時に。
仕事を休むのは本当に病気であっても罪悪感があるものです。


しかし会社(担当者)は「本当に病欠するのか」
何度も質問してくるのですよ。

「はい、最少人数で乗務しているので動けなくなって他のクルーに迷惑をかけることも、
ワンセット(往復便のメンバー)が全滅するわけにもいかないですから。
なによりお客さまにうつすわけにはいきませんので」
ときっぱり言い切って電話を切り休みました。

担当者は「勤務評価が下がってもよいのか」という意味で
確認をしてくれていたのでしょうけれど、
無理できないから❝意を決して❞申し出ているし、
「グッドコメント5通で相殺してくれたらいいのに(それでもお釣りがくるわ)」
と心の中で叫んだものでした。

パワハラまがいのプレッシャーとも戦わなければならないので
心身ともに健康でなければ務まらない仕事だと言われるですよ。


客室乗務員を優しく見守ってくれる人が増えればよいなと思います。



Skywards



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