2019年4月6日土曜日

コックピット・ブリーフィング

しばらく大学講座、内定者研修、新入社員研修、
スクール生とESや面接対策に明け暮れていたので
お仕事紹介シリーズがご無沙汰してしまっていました。


先日、飛行機でのご旅行なさった方にご質問いただき、
ブリーフィング(業務の打合せ)のことをお話しました。

内容は「CAは飛行中、現在地を知っているのか」というもので、
団体旅行でLCCを利用したのだけれど、窓の外に見える山脈を確認したくて
CAに聞いてもわからない様子だったとのこと。
JALANAじゃないから仕方がないのだけれど…」と
とても残念だったそうにしていらっしゃいました。

山の名前はわかる人とわからない人はいるかもしれません。
日本列島の地図が頭に入っている場合は簡単に答えられるでしょうし、
そういうのは疎いからと逃げる人もいるでしょう。
エアラインがどこかというより、そのCAの質の部分かなという気がします。

通常、自分が乗務する日の天候またそれを調べるためやアナウンスを作るため、
当該便のおおよそ飛行経路は確認して出社します。
昔はNHKの世界のお天気を見たり、今ではネット調べるといったことです。


空港内もしくは隣接した自社ビルで、キャビン・ブリーフィングを行い、
機内でコックピット・ブリーフィングが行われるのが通常。
コックピットクルーもディスパッチャー(運行管理者)と
出発前ブリーフィングを行い、そのフライトプラン(飛行計画)に沿って
キャビンクルーと現場で打ち合わせを行うのです。

ここからCAはPIC(機長)の指揮下に入ります。

  • 自己紹介(担当ドアと名前)
  • 飛行時間
  • 時速と高度(巡航高度)
  • 飛行ルートと主な場所の通過時間
  • 航路上の天候
  • 揺れの予想とその地点
  • 使用予定の滑走路
  • 使用ゲート(スポット)
  • 危険物搭載の有無
  • 目的地の天候と温度

保安に関する事項は
  • 出発地、経由地、目的地の非常時体制
  • 操縦室の施錠・開閉方法
  • 操縦室と客室間の連絡方法

おおまかにはこれらの情報伝達と確認作業をしていきます。
緊急時の手順がありますから、FO(副操縦士)と一緒に脱出とか、
特別客についてもどの座席にいるのか把握しておく必要があるからです。
VVIPやVIPが搭乗される便であれば、ゲートだけでなくエプロンで式典があることも。
それ相応の(レッドカーペットなど)を整えるため
通常より出発または到着が早め、もしくは遅めになるなども伝えられます。


例えばNOTAM(Notice To Airmen)で王室や国家元首など重要人物が搭乗した機の飛来による到着空港の一時閉鎖など
臨時情報が発行されていれば、OCC(オペレーションコントロールセンター)によって離陸を遅らせる判断をし、
可能な限り到着予定時刻に近づけるよう気象状況など勘案したうえでMTT(ミニマムタイムトラック)選定しています。


単にメモするだけでなく、『このような場合はこのように』と
訓練で習得したことをさらにその便に置き換えて
イメージトレーニングをしている訳です。
揺れが予想される地点などはしっかりと頭に叩き込みます。
これを基準に逆算しながらその便のサービスを組みます。

A地点からB地点にお客さまと貨物を安全かつ定時性を守りながら、
快適に移動もしくは輸送するのが使命です。
いつも緊張感みなぎるブリーフィングではありますが、
ジョークを言って和ませる方もいらっしゃいます。
機上ではクルーがお互いに助け合うことができる環境が非常に重要だからです。


このように、お客さまと時を共有させていただくにあたり、
各自がそれぞれの立場で最善を尽くしていることを知っていただきたいのです。


どの地点を飛行中で、どのような景色が窓の外に見えるのか。
お客さまからご質問をいただくだけでなく、会話のきっかけになりますから、
知識として持っているべきものだと思います。
もちろん、プロフェッショナルですから緊急事態においては
陸上か洋上かによって自分がとるべき行動が変わって然るべきなので、
意識したことがないとしたら残念なCAとしか言いようがありません。


ここをご覧の志望者の方々は
どのようなCAでありたいですか?


キャビン・ブリーフィングについてはまたの機会に書きますね。


Skywards


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